出産レポ②「ちょっと待ってね」の連続。先の見えない不安。

出産レポ
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「次、先生に診てもらうから、ちょっと待っててね。」

今思えば、この日一番聞いた言葉でした。

でも、その”ちょっと”がどれくらいなのかは誰にも分かりません。

この日から私は、「待つ」ことの長い一日を過ごすことになります。

「ちょっと待ってね」の連続

NSTが終わり、赤ちゃんの心拍も落ち着いたあと。

助産師さんから言われたのは、

「先生に診てもらうから、ちょっと待っててね。」

という一言だけでした。

カーテンの向こうには、人が行き来する気配があります。

先生や助産師さんの声も聞こえます。

でも、私のところには誰も来ません。

NSTを付けたまま待っていると、

「ぐぅぅぅ……」

私のお腹が鳴りました。

朝ご飯を食べる前に破水して、そのまま病院へ来たので、お腹はもう限界。

しかも、その音にNSTがしっかり反応するんです。

「赤ちゃんじゃなくて、私のお腹の音です……。」

こんな状況なのに、思わず笑ってしまいました。

……とはいえ、先生はまだ来ません。

NSTを付けたまま待つこと約1時間。

このまま入院になるのか。

赤ちゃんはいつ生まれるのか。

麻酔はいつから入れるのか。

聞きたいことはたくさんあるのに、聞ける人がいません。

「いつ呼ばれるんだろう。」

そんなことを考えながら、夫とLINEをして時間をつぶしていました。


ようやく診察室へ呼ばれました。

足を開くあの診察台に座り、診察はほんの一瞬。

「羊水だから破水だね。入院になります。」

それだけでした。

「このあとどう進むんだろう?」

「いつ産まれるのかな?」

そんな疑問は頭の中にたくさんありましたが、その場では何も説明はありません。

診察が終わると、

「部屋を準備するから、ちょっと待っててね。」

また”ちょっと待って”です。

豪華なお昼ご飯と、ようやく分かった今日の予定

待合室で30分ほど待ったあと、陣痛室へ案内されました。

まず驚いたのは、お昼ご飯。

「え、こんなに豪華なの?」

というくらい立派なご飯でした。

量もかなり多め。

でも私は残さない主義。

「出されたものは食べる!」

と、しっかり完食しました。

……あとで「食べすぎた」と後悔しました笑


食器を下げに来てくれた助産師さんに、私は思い切って聞きました。

「この後どう進むんですか?」

すると返ってきたのは、

「まだ赤ちゃんが下りてきていないから、今日はゆっくり陣痛待ちになると思うよ。」

という言葉。

ようやく、この日初めて今後のことを知ることができました。

それまでは、何を待っているのかさえ分からなかったんです。

私は勝手に、

「このまま麻酔と促進剤を使うのかな?」

なんて思っていました。

だから少し拍子抜けしたのを覚えています。

具体的にどう進めるのかは、先生の方針待ちの状態でした。

夫と過ごした、嵐の前の穏やかな時間

13時を過ぎた頃から、生理痛のような軽い痛みが始まりました。

まだ普通に会話はできます。

14時には夫が来てくれました。

朝のドタバタ以来、ようやく会えた安心感。

二人で、

「明日には産まれるかな。」

「このあとどうなるんだろうね。」

そんな話をしていました。

「産まれたら何食べたい?」

なんて話にもなって、

私は近所にあったお気に入りの高級チョコレート屋さんをリクエスト。

……ところが、私が入院している間に閉店してしまいました笑

(退院の日には、代わりにGODIVAを買ってきてくれました。)

助産師さんによって違う説明に戸惑う

前駆陣痛は少しずつ強くなっていました。

でも、それ以上に戸惑ったのが助産師さんによって言うことが違うこと。

ある助産師さんは、

「歩いて子宮口を刺激した方がいいよ。」

と言い、

別の助産師さんは、

「羊水が出ちゃうから、あまり歩かないでね。」

と言います。

(どっちーーー!?)

心の中で思わずツッコミました。

もちろん、どちらもそのときの状況を見て言ってくれていたんだと思います。

でも当時の私は、何を信じればいいのか分からず、不安になるばかりでした。

静かな夜、本格的な陣痛が始まる

夕方になり、夫は面会時間終了前ですが助産師さんに帰宅を促されます。

その頃になってようやく、

「明日の朝6時半に、無痛分娩の麻酔の管を入れます。」

と説明を受けました。

それも、こちらから聞いてようやく知ったこと。

促進剤をいつ始めるのか。

麻酔はいつ入れるのか。

その説明はまだありません。

「先生が様子を見ながら決めるんだろうな。」

出産レポをたくさん読んでいた私は、なんとなくそう理解していました。


夜10時。

消灯。

照明は光度を落とされ、薄暗い部屋。

窓もテレビもありません。

NSTの機器や、ドアの隙間から入ってくる明かりが際立ちます。

聞こえてくるのは、どこかの赤ちゃんの泣き声。

先生や助産師さんの話し声。

廊下を歩く足音。

私は一人、スマホで夫や家族とLINEをしながら過ごしていました。

前駆陣痛はあるものの、まだ耐えられる痛み。

うとうとはできます。

でも、熟睡はできません。

頭のどこかが、ずっと起きているような感覚でした。

NSTで起こされるたび、

「やっと2時間経ったのか」

と時計を見る。

時間だけが、ゆっくりゆっくり進んでいきます。

「いつ頃産まれるのかな。」

そう思いながら迎えた深夜3時。

それまで生理痛のようだった痛みが、

突然、姿を変えました。

冷たい鉄板を、お腹に”ズドーン”と落とされたような衝撃。

暗い部屋の中で、陣痛が本格化してきました。

出産は進んでいる。

これから麻酔が入るまで、この痛みに耐えていくんだ。

私は静かに覚悟を決めて、ゆっくり息を吐きました。


次回、無痛分娩開始。

「現代に生まれて本当に良かった。」

そう思えたのも束の間。

出産は、私たちが思い描いていたものとは、まったく違う方向へ進んでいきました。

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